外国政府の不動産に関する権利の取得に関する政令第九条第四項及び第十条第二項の規定に基き、外国政府の不動産に関する権利の取得に関する省令を次のように定める。
(定義)
第一条 この省令において外国政府、不動産、取得及び賃借とは、それぞれ外国政府の不動産に関する権利の取得に関する政令(以下令という。)に規定する外国政府、不動産、取得及び賃借をいう。
(事務の委任)
第二条 令第八条の二及び第九条に規定する財務大臣の事務は、財務大臣の委任を受けた財務局長(以下財務局長という。)が行うものとする。
(所有者との契約の締結)
第三条 令第八条の二第一項前段の規定により、財務局長が不動産の所有者その他の権利者(以下所有者という。)と当該不動産の取得又は賃借に関する契約を締結しようとするときは、その契約書に、契約金額、契約物件、登記に関する事項、この省令に規定する対価の支払の方法及び不動産の引渡に関する事項その他必要な事項を明らかにしておかなければならない。
(外国政府との契約の締結)
第四条 前条の規定は、令第八条の二第一項後段及び同条第二項の規定により、財務局長が外国政府と不動産又はこれに関する権利の譲渡又は賃貸に関する契約を締結しようとする場合に準用する。
2 前項の契約書は、英文及び日本文をもつて作成しなければならない。
(歳入歳出外現金出納官吏)
第五条 財務局長は、令第九条第四項の規定により当該外国政府の資金、外国政府が日本国政府に支払う対価及び日本国政府が当該不動産の所有者その他の権利者に支払う対価の出納保管等を行わせるため、財務局の職員のうちから、歳入歳出外現金出納官吏(以下「出納官吏」という。)を命じなければならない。
2 出納官吏は、この省令に規定する場合の外は、出納官吏の事務に関する他の財務省令の規定によりその事務を行わなければならない。
(邦貨による対価の受領及び支払)
第六条 外国政府が譲渡又は賃貸を受けた不動産又はこれに関する権利の対価を邦貨(日本国政府の認める外国通貨を交換した邦貨をいう。以下同じ。)で直接出納官吏に支払おうとするときは、出納官吏は、所有者の立会を求め、外国政府からその対価を受領し、直ちにこれを所有者に支払わなければならない。
(預託金払込告知書による対価の受領及び支払)
第七条 外国政府が対価を邦貨で支払おうとする場合において、出納官吏が前条の措置をとることができないときは、出納官吏は、外国政府に別紙書式による預託金払込告知書を交付して、その預託金を取り扱う日本銀行(本店、支店又は代理店をいう。以下同じ。)に対価を払い込ませることができる。
2 日本銀行は、前項の規定により対価の払込を受けたときは、外国政府に対し領収証書を交付し、且つ、出納官吏に対し領収済の通知をしなければならない。
3 出納官吏は、日本銀行から領収済の通知を受けたときは、所有者から対価の請求書を提出させ、日本銀行を支払人とする記名式持参人払の小切手を振り出し、これを当該所有者に交付しなければならない。
4 日本銀行は、前項の規定による記名式持参人払の小切手の提示を受けたときは、当該出納官吏の預託金からその支払をしなければならない。
第八条 日本銀行は、前条の規定による預託金の受払については、前渡資金の預託金の受払の例に準じて取り扱わなければならない。
(小切手による対価の受領及び支払)
第九条 第六条及び第七条の規定は、外国政府が対価を邦価表示の小切手で支払おうとする場合に準用する。この場合においては、証券を以てする歳入納付に関する法律(大正五年法律第十号)、歳入納付に使用する証券に関する件(大正五年勅令第二百五十六号)及びこれらの法令に基く命令の規定に準じて取り扱うものとする。
(貿易特別会計に対する支払の請求)
第十条 財務局長は、令第九条第二項の規定により当該外国政府が貿易特別会計に対し有していた債権で、同特別会計の廃止に伴い一般会計に対する債権となつたものを取り立てようとする場合には、一般会計の当該官署支出官に支払の請求をしなければならない。
(不動産の引渡)
第十一条 財務局長は、当該外国政府から対価の支払を受けたとき又は当該外国政府が貿易特別会計に対し有していた債権で、同特別会計の廃止に伴い一般会計に対する債権となつたものを取り立てたとき以後でなければ、当該不動産又はこれに関する権利を当該外国政府に引き渡してはならない。但し、賃貸をする場合においては、この限りでない。
(報告及び記録)
第十二条 財務局長は、外国政府に対し、不動産又はこれに関する権利の譲渡又は賃貸をしたときは、その都度、当該契約の内容並びに契約の締結及び履行の状況を、遅滞なく財務大臣に報告するとともに、当該譲渡又は賃貸について、所要の記録を備えておかなければならない。