第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、住生活基本法の基本理念にのっとり、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関し、国土交通大臣による基本方針の策定、都道府県及び市町村による賃貸住宅供給促進計画の作成、住宅確保要配慮者の円滑な入居を促進するための賃貸住宅の登録制度等について定めることにより、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する施策を総合的かつ効果的に推進し、もって国民生活の安定向上と社会福祉の増進に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「住宅確保要配慮者」とは、次の各号のいずれかに該当する者をいう。
一 その収入が国土交通省令で定める金額を超えない者
二 災害(発生した日から起算して三年を経過していないものに限る。以下この号において同じ。)により滅失若しくは損傷した住宅に当該災害が発生した日において居住していた者又は災害に際し災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号)が適用された同法第二条に規定する市町村の区域に当該災害が発生した日において住所を有していた者
三 高齢者
四 障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)第二条第一号に規定する障害者
五 子ども(十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある者をいう。)を養育している者
六 前各号に掲げるもののほか、住宅の確保に特に配慮を要するものとして国土交通省令で定める者
2 この法律において「公的賃貸住宅」とは、次の各号のいずれかに該当する賃貸住宅をいう。
一 公営住宅法(昭和二十六年法律第百九十三号)第二条第二号に規定する公営住宅その他地方公共団体が整備する賃貸住宅
二 独立行政法人都市再生機構又は地方住宅供給公社(以下「公社」という。)が整備する賃貸住宅
三 特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律(平成五年法律第五十二号。以下「特定優良賃貸住宅法」という。)第六条に規定する特定優良賃貸住宅(同法第十三条第一項に規定する認定管理期間が経過したものを除く。以下単に「特定優良賃貸住宅」という。)
四 前三号に掲げるもののほか、地方公共団体が住宅確保要配慮者の居住の安定の確保を図ることを目的としてその整備に要する費用の一部を負担して整備の推進を図る賃貸住宅(当該負担を行うに当たり付した条件に基づきその入居者を公募することとされているものに限る。)
3 この法律において「民間賃貸住宅」とは、公的賃貸住宅以外の賃貸住宅をいう。
(国及び地方公共団体の責務)
第三条 国及び地方公共団体は、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進を図るため、必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
第二章 基本方針
第四条 国土交通大臣は、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する基本的な方向
二 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の目標の設定に関する事項
三 住宅確保要配慮者に対する公的賃貸住宅の供給の促進に関する基本的な事項
四 住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関する基本的な事項
五 住宅確保要配慮者が入居する賃貸住宅の管理の適正化に関する基本的な事項
六 次条第一項に規定する都道府県賃貸住宅供給促進計画及び第六条第一項に規定する市町村賃貸住宅供給促進計画の作成に関する基本的な事項
七 前各号に掲げるもののほか、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する重要事項
3 基本方針は、住生活基本法第十五条第一項に規定する全国計画との調和が保たれたものでなければならない。
4 国土交通大臣は、基本方針を定めようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
5 国土交通大臣は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
6 前三項の規定は、基本方針の変更について準用する。
第三章 都道府県賃貸住宅供給促進計画及び市町村賃貸住宅供給促進計画
(都道府県賃貸住宅供給促進計画)
第五条 都道府県は、基本方針に基づき、当該都道府県の区域内における住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する計画(以下「都道府県賃貸住宅供給促進計画」という。)を作成することができる。
2 都道府県賃貸住宅供給促進計画においては、次に掲げる事項を記載するものとする。
一 当該都道府県の区域内における住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の目標
二 次に掲げる事項であって、前号の目標を達成するために必要なもの
イ 住宅確保要配慮者に対する公的賃貸住宅の供給の促進に関する事項
ロ 住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関する事項
ハ 住宅確保要配慮者が入居する賃貸住宅の管理の適正化に関する事項
三 計画期間
3 都道府県賃貸住宅供給促進計画においては、前項各号に掲げる事項のほか、当該都道府県の区域内における住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関し必要な事項を記載するよう努めるものとする。
4 都道府県は、当該都道府県の区域内において公社による第九条第一項第七号に規定する住宅確保要配慮者専用賃貸住宅の整備及び賃貸その他の管理に関する事業の実施が必要と認められる場合には、第二項第二号に掲げる事項に、当該事業の実施に関する事項を記載することができる。
5 都道府県は、都道府県賃貸住宅供給促進計画に公社による前項に規定する事業の実施に関する事項を記載しようとするときは、当該事項について、あらかじめ、当該公社の同意を得なければならない。
6 都道府県は、当該都道府県の区域内において、特定優良賃貸住宅法第三条第四号に規定する資格を有する入居者をその全部又は一部について確保することができない特定優良賃貸住宅を活用し、住宅確保要配慮者(同号に規定する資格を有する者を除く。以下この項及び第七条第一項において同じ。)に対する住宅を供給することが必要と認められる場合には、第二項第二号に掲げる事項に、特定優良賃貸住宅の住宅確保要配慮者に対する賃貸に関する事項を記載することができる。
7 都道府県は、都道府県賃貸住宅供給促進計画に特定優良賃貸住宅の住宅確保要配慮者に対する賃貸に関する事項を記載しようとするときは、当該事項について、あらかじめ、当該都道府県の区域内の市(特別区を含む。以下同じ。)の長の同意を得なければならない。
8 都道府県は、都道府県賃貸住宅供給促進計画を作成しようとするときは、あらかじめ、インターネットの利用その他の国土交通省令で定める方法により、住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるとともに、当該都道府県の区域内の市町村に協議しなければならない。この場合において、第五十一条第一項の規定により住宅確保要配慮者居住支援協議会を組織し、又は地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法(平成十七年法律第七十九号。第五十二条において「地域住宅特別措置法」という。)第五条第一項の規定により地域住宅協議会を組織している都道府県にあっては、当該住宅確保要配慮者居住支援協議会又は地域住宅協議会の意見を聴かなければならない。
9 都道府県は、都道府県賃貸住宅供給促進計画を作成したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めるとともに、国土交通大臣及び当該都道府県の区域内の市町村にその写しを送付しなければならない。
10 第四項から前項までの規定は、都道府県賃貸住宅供給促進計画の変更について準用する。
(市町村賃貸住宅供給促進計画)
第六条 市町村は、基本方針(都道府県賃貸住宅供給促進計画が作成されている場合にあっては、都道府県賃貸住宅供給促進計画)に基づき、当該市町村の区域内における住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する計画(以下「市町村賃貸住宅供給促進計画」という。)を作成することができる。
2 市町村賃貸住宅供給促進計画においては、次に掲げる事項を記載するものとする。
一 当該市町村の区域内における住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の目標
二 次に掲げる事項であって、前号の目標を達成するために必要なもの
イ 住宅確保要配慮者に対する公的賃貸住宅の供給の促進に関する事項
ロ 住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関する事項
ハ 住宅確保要配慮者が入居する賃貸住宅の管理の適正化に関する事項
三 計画期間
3 前条第三項から第十項までの規定は、市町村賃貸住宅供給促進計画について準用する。この場合において、同条第三項中「前項各号」とあるのは「次条第二項各号」と、「当該都道府県」とあるのは「当該市町村(特別区を含む。以下この条において同じ。)」と、同条第四項及び第六項中「都道府県」とあるのは「市町村」と、「第二項第二号」とあるのは「次条第二項第二号」と、同条第五項、第八項及び第九項中「都道府県は」とあるのは「市町村は」と、同条第七項中「都道府県は」とあるのは「町村は」と、「当該都道府県の区域内の市(特別区を含む。以下同じ。)の長」とあるのは「都道府県知事」と、同条第八項及び第九項中「当該都道府県の区域内の市町村」とあるのは「都道府県」と、同条第八項中「都道府県に」とあるのは「市町村に」と読み替えるものとする。
(特定優良賃貸住宅の入居者の資格に係る認定の基準の特例)
第七条 特定優良賃貸住宅法第五条第一項に規定する認定事業者(第三項において単に「認定事業者」という。)は、次に掲げる区域内において、特定優良賃貸住宅の全部又は一部について特定優良賃貸住宅法第三条第四号に規定する資格を有する入居者を国土交通省令で定める期間以上確保することができないときは、特定優良賃貸住宅法の規定にかかわらず、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長。第三項において同じ。)の承認を受けて、その全部又は一部を住宅確保要配慮者に賃貸することができる。
一 第五条第六項の規定により都道府県賃貸住宅供給促進計画に特定優良賃貸住宅の住宅確保要配慮者に対する賃貸に関する事項を記載した都道府県の区域
二 前条第三項において準用する第五条第六項の規定により市町村賃貸住宅供給促進計画に特定優良賃貸住宅の住宅確保要配慮者に対する賃貸に関する事項を記載した市町村の区域
2 前項の規定により特定優良賃貸住宅の全部又は一部を賃貸する場合においては、当該賃貸借を、借地借家法(平成三年法律第九十号)第三十八条第一項の規定による建物の賃貸借(国土交通省令で定める期間を上回らない期間を定めたものに限る。)としなければならない。
3 認定事業者が第一項の規定による都道府県知事の承認を受けた場合における特定優良賃貸住宅法第十一条第一項の規定の適用については、同項中「処分」とあるのは、「処分又は住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(平成十九年法律第百十二号)第七条第二項の規定」とする。
第四章 住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅事業
第一節 登録
(住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅事業の登録)
第八条 住宅確保要配慮者の入居を受け入れることとしている賃貸住宅を賃貸する事業(以下「住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅事業」という。)を行う者は、住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅事業に係る賃貸住宅(以下「住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅」という。)を構成する建築物ごとに、都道府県知事の登録を受けることができる。
(登録の申請)
第九条 前条の登録を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅の位置
三 住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅の戸数
四 住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅の規模
五 住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅の構造及び設備
六 入居を受け入れることとする住宅確保要配慮者の範囲を定める場合にあっては、その範囲
七 入居者の資格を、自ら居住するため賃貸住宅を必要とする住宅確保要配慮者又は当該住宅確保要配慮者と同居するその配偶者等(配偶者その他の親族(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者及び当該事情にある者の親族を含む。)で国土交通省令で定める者をいう。)に限る賃貸住宅(第十八条第一項において「住宅確保要配慮者専用賃貸住宅」という。)にあっては、その旨
八 住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅の家賃その他賃貸の条件に関する事項
九 その他国土交通省令で定める事項
2 前項の申請書には、第十一条第一項各号のいずれにも該当しないことを誓約する書面その他の国土交通省令で定める書類を添付しなければならない。
(登録の基準等)
第十条 都道府県知事は、第八条の登録の申請が次に掲げる基準に適合していると認めるときは、次条第一項の規定により登録を拒否する場合を除き、その登録をしなければならない。
一 住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅の各戸の床面積が、国土交通省令で定める規模以上であること。
二 住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅の構造及び設備が、住宅確保要配慮者の入居に支障を及ぼすおそれがないものとして国土交通省令で定める基準に適合するものであること。
三 前条第一項第六号に掲げる範囲が定められている場合にあっては、その範囲が、住宅確保要配慮者の入居を不当に制限しないものとして国土交通省令で定める基準に適合するものであること。
四 住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅の家賃その他賃貸の条件が、国土交通省令で定める基準に従い適正に定められるものであること。
五 その他基本方針(住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅が市町村賃貸住宅供給促進計画が作成されている市町村の区域内にある場合にあっては基本方針及び市町村賃貸住宅供給促進計画、住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅が都道府県賃貸住宅供給促進計画が作成されている都道府県の区域(当該市町村の区域を除く。)内にある場合にあっては基本方針及び都道府県賃貸住宅供給促進計画)に照らして適切なものであること。
2 第八条の登録は、住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅登録簿(以下「登録簿」という。)に次に掲げる事項を記載してするものとする。
一 前条第一項各号に掲げる事項
二 登録年月日及び登録番号
3 都道府県知事は、第八条の登録をしたときは、遅滞なく、その旨を当該登録を受けた者に通知しなければならない。
4 都道府県知事は、第八条の登録の申請が第一項の基準に適合しないと認めるときは、遅滞なく、その理由を示して、その旨を申請者に通知しなければならない。
5 都道府県知事は、第八条の登録をしたときは、遅滞なく、その旨を、当該登録を受けた住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅事業(以下「登録事業」という。)に係る住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅(以下「登録住宅」という。)の存する市町村の長に通知しなければならない。
(登録の拒否)
第十一条 都道府県知事は、第八条の登録を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は第九条第一項の申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
一 成年被後見人又は被保佐人
二 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
三 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
四 第二十四条第一項又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
五 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者(第八号において「暴力団員等」という。)
六 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む。)が前各号のいずれかに該当するもの
七 法人であって、その役員のうちに第一号から第五号までのいずれかに該当する者があるもの
八 暴力団員等がその事業活動を支配する者
2 都道府県知事は、前項の規定により登録の拒否をしたときは、遅滞なく、その旨を当該登録の申請をした者に通知しなければならない。
(登録事項等の変更)
第十二条 登録事業を行う者(以下「登録事業者」という。)は、第九条第一項各号に掲げる事項(以下「登録事項」という。)に変更があったとき、又は同条第二項に規定する添付書類の記載事項に変更があったときは、その日から三十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
2 前項の規定による届出をする場合には、国土交通省令で定める書類を添付しなければならない。
3 都道府県知事は、第一項の規定による届出(登録事項の変更に係るものに限る。)を受けたときは、当該届出に係る登録事項が第十条第一項各号に掲げる基準に適合しないと認める場合又は第二十四条第一項若しくは第二項の規定により登録を取り消す場合を除き、当該変更があった登録事項を登録簿に記載して、変更の登録をしなければならない。
4 都道府県知事は、前項の規定により変更の登録をしたときは、遅滞なく、その旨を、当該登録に係る登録住宅の存する市町村の長に通知しなければならない。
(登録簿の閲覧)
第十三条 都道府県知事は、登録簿を一般の閲覧に供しなければならない。
(廃止の届出)
第十四条 登録事業者は、登録事業を廃止したときは、その日から三十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
2 前項の規定による届出があったときは、第八条の登録は、その効力を失う。
(登録の抹消)
第十五条 都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当するときは、第八条の登録を抹消しなければならない。
一 前条第二項の規定により登録が効力を失ったとき。
二 第二十四条第一項又は第二項の規定により登録が取り消されたとき。
2 都道府県知事は、前項の規定により登録を抹消したときは、遅滞なく、その旨を、当該登録に係る登録住宅の存する市町村の長に通知しなければならない。
第二節 業務
(登録事項の公示)
第十六条 登録事業者は、国土交通省令で定めるところにより、登録事項を公示しなければならない。
(入居の拒否の制限)
第十七条 登録事業者は、登録住宅に入居を希望する住宅確保要配慮者(当該登録住宅について第九条第一項第六号に掲げる範囲を定めた場合にあっては、その範囲に属する者。以下この条及び第二十条第二項において同じ。)に対し、住宅確保要配慮者であることを理由として、入居を拒んではならない。
第三節 登録住宅に係る特例
(委託により公社の行う住宅確保要配慮者専用賃貸住宅の整備等の業務)
第十八条 公社は、地方住宅供給公社法(昭和四十年法律第百二十四号)第二十一条に規定する業務のほか、次に掲げる区域内において、委託により、住宅確保要配慮者専用賃貸住宅(登録住宅であるものに限る。)の整備及び賃貸その他の管理の業務を行うことができる。
一 第五条第四項の規定により都道府県賃貸住宅供給促進計画に公社による同項に規定する事業の実施に関する事項を記載した都道府県の区域
二 第六条第三項において準用する第五条第四項の規定により市町村賃貸住宅供給促進計画に公社による同項に規定する事業の実施に関する事項を記載した市町村の区域
2 前項の規定により公社が同項に規定する業務を行う場合には、地方住宅供給公社法第四十九条第三号中「第二十一条に規定する業務」とあるのは、「第二十一条に規定する業務及び住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(平成十九年法律第百十二号)第十八条第一項に規定する業務」とする。
(機構の行う登録住宅の改良資金の融資)
第十九条 独立行政法人住宅金融支援機構(次条において「機構」という。)は、独立行政法人住宅金融支援機構法(平成十七年法律第八十二号。次条第一項において「機構法」という。)第十三条第一項に規定する業務のほか、登録住宅の改良(登録住宅とすることを主たる目的とする人の居住の用その他その本来の用途に供したことのある建築物の改良を含む。)に必要な資金を貸し付けることができる。
(機構の行う家賃債務保証保険契約に係る保険)
第二十条 機構は、機構法第十三条第一項に規定する業務のほか、家賃債務保証保険契約に係る保険を行うことができる。
2 前項の「家賃債務保証保険契約」とは、機構が事業年度ごとに家賃債務保証業者(賃貸住宅の賃借人の委託を受けて当該賃借人の家賃の支払に係る債務(以下「家賃債務」という。)を保証することを業として行う者であって、家賃債務の保証を適正かつ確実に実施することができると認められるものとして国土交通省令で定める要件に該当する者をいう。以下この条において同じ。)と締結する契約であって、家賃債務保証業者が登録住宅に入居する住宅確保要配慮者(以下「登録住宅入居者」という。)の家賃債務(利息に係るものを除く。以下この条において同じ。)の保証をしたことを機構に通知することにより、当該家賃債務保証業者が登録住宅入居者の家賃債務につき保証をした金額の総額が一定の金額に達するまで、その保証につき、機構と当該家賃債務保証業者との間に保険関係が成立する旨を定めるものをいう。
3 前項に規定する家賃債務保証保険契約(第十項において単に「家賃債務保証保険契約」という。)に係る保険関係においては、家賃債務保証業者が登録住宅入居者の家賃債務につき保証をした金額を保険価額とし、家賃債務保証業者が登録住宅入居者に代わってする家賃債務の全部又は一部の弁済を保険事故とし、保険価額に百分の七十を超えない範囲内において国土交通省令で定める割合を乗じて得た金額を保険金額とする。
4 機構が前項の保険関係に基づいて支払うべき保険金の額は、家賃債務保証業者が登録住宅入居者に代わって弁済をした家賃債務の額から当該家賃債務保証業者が保険金の支払の請求をする時までに当該登録住宅入居者に対する求償権(弁済をした日以後の利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償に係る部分を除く。)を行使して取得した額を控除した残額に、同項の国土交通省令で定める割合を乗じて得た額とする。
5 前項の求償権を行使して取得した額は、家賃債務保証業者が登録住宅入居者の家賃債務のほか利息又は費用についても弁済をしたときは、当該求償権を行使して取得した総額に、その弁済をした家賃債務の額の総弁済額に対する割合を乗じて得た額とする。
6 家賃債務保証業者は、保険事故の発生の日から一年を超えない範囲内において国土交通省令で定める期間を経過した後は、保険金の支払の請求をすることができない。
7 家賃債務保証業者は、第三項の保険関係が成立した保証に基づき登録住宅入居者に代わって弁済をした場合には、その求償に努めなければならない。
8 保険金の支払を受けた家賃債務保証業者は、その支払の請求をした後登録住宅入居者に対する求償権(家賃債務保証業者が登録住宅入居者に代わって家賃債務の弁済をした日以後保険金の支払を受けた日までの利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償に係る部分を除く。)を行使して取得した額に、当該支払を受けた保険金の額の当該保険金に係る第四項に規定する残額に対する割合を乗じて得た額を機構に納付しなければならない。
9 前項の求償権を行使して取得した額については、第五項の規定を準用する。
10 機構は、家賃債務保証業者が家賃債務保証保険契約の条項に違反したときは、第三項の保険関係に基づく保険金の全部若しくは一部を支払わず、若しくは保険金の全部若しくは一部を返還させ、又は将来にわたって当該保険契約を解除することができる。
(保護の実施機関による被保護入居者の状況の把握等)
第二十一条 登録事業者(第五十一条第一項の住宅確保要配慮者居住支援協議会の構成員であることその他の国土交通省令・厚生労働省令で定める要件に該当する者に限る。)は、被保護入居者(被保護者(生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第六条第一項に規定する被保護者をいう。)である登録住宅入居者をいい、登録住宅入居者となろうとする者を含む。以下この条において同じ。)が家賃の請求に応じないことその他の被保護入居者の居住の安定の確保を図る上で支障となるものとして国土交通省令・厚生労働省令で定める事情があるときは、国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより、その旨を保護の実施機関(同法第十九条第四項に規定する保護の実施機関をいう。次項において同じ。)に通知することができる。
2 保護の実施機関は、前項の規定による通知を受けたときは、当該通知に係る被保護入居者に対し生活保護法第三十七条の二の規定による措置その他の同法による保護の目的を達するために必要な措置を講ずる必要があるかどうかを判断するため、速やかに、当該被保護入居者の状況の把握その他当該通知に係る事実について確認するための措置を講ずるものとする。
第四節 監督
(報告の徴収)
第二十二条 都道府県知事は、登録事業者に対し、登録住宅の管理の状況について報告を求めることができる。
(指示)
第二十三条 都道府県知事は、登録された登録事項が事実と異なるときは、その登録事業者に対し、当該事項の訂正を申請すべきことを指示することができる。
2 都道府県知事は、登録事業が第十条第一項各号に掲げる基準に適合しないと認めるときは、その登録事業者に対し、その登録事業を当該基準に適合させるために必要な措置をとるべきことを指示することができる。
3 都道府県知事は、登録事業者が第十六条又は第十七条の規定に違反したときは、当該登録事業者に対し、その是正のために必要な措置をとるべきことを指示することができる。
(登録の取消し)
第二十四条 都道府県知事は、登録事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、第八条の登録を取り消さなければならない。
一 第十一条第一項各号(第四号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。
二 不正な手段により第八条の登録を受けたとき。
2 都道府県知事は、登録事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、第八条の登録を取り消すことができる。
一 第十二条第一項の規定に違反したとき。
二 前条の規定による指示に違反したとき。
3 都道府県知事は、前二項の規定により登録を取り消したときは、遅滞なく、その旨を当該登録事業者であった者に通知しなければならない。
第五節 指定登録機関
(指定登録機関の指定等)
第二十五条 都道府県知事は、その指定する者(以下「指定登録機関」という。)に、住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅事業の登録及び登録簿の閲覧の実施に関する事務(前節の規定による事務を除く。以下「登録事務」という。)の全部又は一部を行わせることができる。
2 指定登録機関の指定(以下この節において単に「指定」という。)は、登録事務を行おうとする者の申請により行う。
3 都道府県知事は、指定をしたときは、指定登録機関が行う登録事務を行わないものとし、この場合における登録事務の引継ぎその他の必要な事項は、国土交通省令で定める。
4 指定登録機関が登録事務を行う場合における第八条から第十五条までの規定の適用については、これらの規定中「都道府県知事」とあるのは、「第二十五条第二項の指定を受けた者」とする。
(欠格条項)
第二十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、指定を受けることができない。
一 未成年者、成年被後見人又は被保佐人
二 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
三 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
四 第三十五条第一項又は第二項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
五 法人であって、その役員のうちに前各号のいずれかに該当する者があるもの
(指定の基準)
第二十七条 都道府県知事は、当該都道府県の区域において他に指定を受けた者がなく、かつ、指定の申請が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、指定をしてはならない。
一 職員、登録事務の実施の方法その他の事項についての登録事務の実施に関する計画が、登録事務の適確な実施のために適切なものであること。
二 前号の登録事務の実施に関する計画を適確に実施するに足りる経理的及び技術的な基礎を有するものであること。
三 登録事務以外の業務を行っている場合には、その業務を行うことによって登録事務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
四 前三号に定めるもののほか、登録事務を公正かつ適確に行うことができるものであること。
(指定の公示等)
第二十八条 都道府県知事は、指定をしたときは、指定登録機関の名称及び住所、指定登録機関が行う登録事務の範囲、登録事務を行う事務所の所在地並びに登録事務の開始の日を公示しなければならない。
2 指定登録機関は、その名称若しくは住所又は登録事務を行う事務所の所在地を変更しようとするときは、変更しようとする日の二週間前までに、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
3 都道府県知事は、前項の規定による届出があったときは、その旨を公示しなければならない。
(秘密保持義務等)
第二十九条 指定登録機関(その者が法人である場合にあっては、その役員。次項において同じ。)及びその職員並びにこれらの者であった者は、登録事務に関して知り得た秘密を漏らし、又は自己の利益のために使用してはならない。
2 指定登録機関及びその職員で登録事務に従事する者は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(登録事務規程)
第三十条 指定登録機関は、登録事務に関する規程(以下「登録事務規程」という。)を定め、都道府県知事の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 登録事務規程で定めるべき事項は、国土交通省令で定める。
3 都道府県知事は、第一項の認可をした登録事務規程が登録事務の公正かつ適確な実施上不適当となったと認めるときは、その登録事務規程を変更すべきことを命ずることができる。
(帳簿の備付け等)
第三十一条 指定登録機関は、国土交通省令で定めるところにより、登録事務に関する事項で国土交通省令で定めるものを記載した帳簿を備え付け、これを保存しなければならない。
2 前項に定めるもののほか、指定登録機関は、国土交通省令で定めるところにより、登録事務に関する書類で国土交通省令で定めるものを保存しなければならない。
(監督命令)
第三十二条 都道府県知事は、登録事務の公正かつ適確な実施を確保するため必要があると認めるときは、指定登録機関に対し、登録事務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告、検査等)
第三十三条 都道府県知事は、登録事務の公正かつ適確な実施を確保するため必要があると認めるときは、指定登録機関に対し登録事務に関し必要な報告を求め、又はその職員に、指定登録機関の事務所に立ち入り、登録事務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(登録事務の休廃止)
第三十四条 指定登録機関は、都道府県知事の許可を受けなければ、登録事務の全部若しくは一部を休止し、又は廃止してはならない。
2 都道府県知事は、前項の許可をしたときは、その旨を公示しなければならない。
(指定の取消し等)
第三十五条 都道府県知事は、指定登録機関が第二十六条各号(第四号を除く。)のいずれかに該当するに至ったときは、その指定を取り消さなければならない。
2 都道府県知事は、指定登録機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて登録事務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第二十五条第四項の規定により読み替えて適用する第十条、第十一条、第十二条第三項若しくは第四項、第十三条又は第十五条の規定に違反したとき。
二 第二十八条第二項、第三十一条又は前条第一項の規定に違反したとき。
三 第三十条第一項の認可を受けた登録事務規程によらないで登録事務を行ったとき。
四 第三十条第三項又は第三十二条の規定による命令に違反したとき。
五 第二十七条各号に掲げる基準に適合していないと認めるとき。
六 登録事務に関し著しく不適当な行為をしたとき、又は法人にあってはその役員が登録事務に関し著しく不適当な行為をしたとき。
七 不正な手段により指定を受けたとき。
3 都道府県知事は、前二項の規定により指定を取り消し、又は前項の規定により登録事務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、その旨を公示しなければならない。
(都道府県知事による登録事務の実施)
第三十六条 都道府県知事は、指定登録機関が第三十四条第一項の規定により登録事務の全部若しくは一部を休止したとき、前条第二項の規定により指定登録機関に対し登録事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、又は指定登録機関が天災その他の事由により登録事務の全部若しくは一部を実施することが困難となった場合において必要があると認めるときは、第二十五条第三項の規定にかかわらず、登録事務の全部又は一部を自ら行うものとする。
2 都道府県知事は、前項の規定により登録事務を行うこととし、又は同項の規定により行っている登録事務を行わないこととするときは、その旨を公示しなければならない。
3 都道府県知事が、第一項の規定により登録事務を行うこととし、第三十四条第一項の規定により登録事務の廃止を許可し、若しくは前条第一項若しくは第二項の規定により指定を取り消し、又は第一項の規定により行っている登録事務を行わないこととする場合における登録事務の引継ぎその他の必要な事項は、国土交通省令で定める。
(登録手数料)
第三十七条 都道府県は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百二十七条の規定に基づき登録に係る手数料を徴収する場合においては、第二十五条の規定により指定登録機関が行う登録を受けようとする者に、条例で定めるところにより、当該手数料を当該指定登録機関に納めさせることができる。
2 前項の規定により指定登録機関に納められた手数料は、当該指定登録機関の収入とする。
第六節 雑則
(資金の確保等)
第三十八条 国及び地方公共団体は、登録住宅の整備のために必要な資金の確保又はその融通のあっせんに努めなければならない。
(賃貸住宅への円滑な入居のための援助)
第三十九条 都道府県知事は、登録事業者が破産手続開始の決定を受けたときその他登録住宅入居者(登録住宅入居者であった者を含む。)の居住の安定を図るため必要があると認めるときは、当該登録住宅入居者に対し、他の適当な賃貸住宅に円滑に入居するために必要な助言その他の援助を行うよう努めなければならない。
第五章 住宅確保要配慮者居住支援法人
(住宅確保要配慮者居住支援法人)
第四十条 都道府県知事は、特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人、一般社団法人若しくは一般財団法人その他の営利を目的としない法人又は住宅確保要配慮者の居住の支援を行うことを目的とする会社であって、第四十二条に規定する業務(以下「支援業務」という。)に関し次に掲げる基準に適合すると認められるものを、その申請により、住宅確保要配慮者居住支援法人(以下「支援法人」という。)として指定することができる。
一 職員、支援業務の実施の方法その他の事項についての支援業務の実施に関する計画が、支援業務の適確な実施のために適切なものであること。
二 前号の支援業務の実施に関する計画を適確に実施するに足りる経理的及び技術的な基礎を有するものであること。
三 役員又は職員の構成が、支援業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
四 支援業務以外の業務を行っている場合には、その業務を行うことによって支援業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
五 前各号に定めるもののほか、支援業務を公正かつ適確に行うことができるものであること。
(指定の公示等)
第四十一条 都道府県知事は、前条の規定による指定(以下単に「指定」という。)をしたときは、支援法人の名称及び住所並びに支援業務を行う事務所の所在地を公示しなければならない。
2 支援法人は、その名称若しくは住所又は支援業務を行う事務所の所在地を変更しようとするときは、変更しようとする日の二週間前までに、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
3 都道府県知事は、前項の規定による届出があったときは、その旨を公示しなければならない。
(業務)
第四十二条 支援法人は、当該都道府県の区域内において、次に掲げる業務を行うものとする。
一 登録事業者からの要請に基づき、登録住宅入居者の家賃債務の保証をすること。
二 住宅確保要配慮者の賃貸住宅への円滑な入居の促進に関する情報の提供、相談その他の援助を行うこと。
三 賃貸住宅に入居する住宅確保要配慮者の生活の安定及び向上に関する情報の提供、相談その他の援助を行うこと。
四 前三号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
(業務の委託)
第四十三条 支援法人は、都道府県知事の認可を受けて、前条第一号に掲げる業務(以下「債務保証業務」という。)のうち債務の保証の決定以外の業務の全部又は一部を金融機関その他の者に委託することができる。
2 金融機関は、他の法律の規定にかかわらず、前項の規定による委託を受け、当該業務を行うことができる。
(債務保証業務規程)
第四十四条 支援法人は、債務保証業務に関する規程(以下「債務保証業務規程」という。)を定め、都道府県知事の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 債務保証業務規程で定めるべき事項は、国土交通省令で定める。
3 都道府県知事は、第一項の認可をした債務保証業務規程が債務保証業務の公正かつ適確な実施上不適当となったと認めるときは、その債務保証業務規程を変更すべきことを命ずることができる。
(事業計画等)
第四十五条 支援法人は、毎事業年度、国土交通省令で定めるところにより、支援業務に係る事業計画及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあっては、その指定を受けた後遅滞なく)、都道府県知事の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 支援法人は、毎事業年度、国土交通省令で定めるところにより、支援業務に係る事業報告書及び収支決算書を作成し、当該事業年度経過後三月以内に、都道府県知事に提出しなければならない。
(区分経理)
第四十六条 支援法人は、国土交通省令で定めるところにより、債務保証業務及びこれに附帯する業務に係る経理とその他の業務に係る経理とを区分して整理しなければならない。
(帳簿の備付け等)
第四十七条 支援法人は、国土交通省令で定めるところにより、支援業務に関する事項で国土交通省令で定めるものを記載した帳簿を備え付け、これを保存しなければならない。
2 前項に定めるもののほか、支援法人は、国土交通省令で定めるところにより、支援業務に関する書類で国土交通省令で定めるものを保存しなければならない。
(監督命令)
第四十八条 都道府県知事は、支援業務の公正かつ適確な実施を確保するため必要があると認めるときは、支援法人に対し、支援業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告、検査等)
第四十九条 都道府県知事は、支援業務の公正かつ適確な実施を確保するため必要があると認めるときは、支援法人に対し支援業務若しくは資産の状況に関し必要な報告を求め、又はその職員に、支援法人の事務所に立ち入り、支援業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 第三十三条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。
(指定の取消し等)
第五十条 都道府県知事は、支援法人が次の各号のいずれかに該当するときは、その指定を取り消すことができる。
一 第四十一条第二項又は第四十五条から第四十七条までの規定に違反したとき。
二 第四十四条第一項の認可を受けた債務保証業務規程によらないで債務保証業務を行ったとき。
三 第四十四条第三項又は第四十八条の規定による命令に違反したとき。
四 第四十条各号に掲げる基準に適合していないと認めるとき。
五 支援法人又はその役員が、支援業務に関し著しく不適当な行為をしたとき。
六 不正な手段により指定を受けたとき。
2 都道府県知事は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。
第六章 住宅確保要配慮者居住支援協議会
(住宅確保要配慮者居住支援協議会)
第五十一条 地方公共団体、支援法人、宅地建物取引業者(宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第二条第三号に規定する宅地建物取引業者をいう。)、賃貸住宅を管理する事業を行う者その他の住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に資する活動を行う者は、住宅確保要配慮者又は民間賃貸住宅の賃貸人に対する情報の提供その他の住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関し必要な措置について協議するため、住宅確保要配慮者居住支援協議会(以下「支援協議会」という。)を組織することができる。
2 前項の協議を行うための会議において協議が調った事項については、支援協議会の構成員は、その協議の結果を尊重しなければならない。
3 前二項に定めるもののほか、支援協議会の運営に関し必要な事項は、支援協議会が定める。
(支援協議会及び地域住宅協議会の連携)
第五十二条 前条第一項の規定により支援協議会が組織された地方公共団体の区域について地域住宅特別措置法第五条第一項の規定により地域住宅協議会が組織されている場合には、当該支援協議会及び地域住宅協議会は、住宅確保要配慮者の賃貸住宅への円滑な入居を促進するため、相互に連携を図るよう努めなければならない。
第七章 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する施策
(公的賃貸住宅の供給の促進)
第五十三条 国及び地方公共団体は、所得の状況、心身の状況、世帯構成その他の住宅確保要配慮者の住宅の確保について配慮を必要とする事情を勘案し、既存の公的賃貸住宅の有効活用を図りつつ、公的賃貸住宅の適切な供給の促進に関し必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
2 公的賃貸住宅の管理者は、公的賃貸住宅の入居者の選考に当たり、住宅確保要配慮者の居住の安定に配慮するよう努めなければならない。
(民間賃貸住宅への円滑な入居の促進)
第五十四条 国及び地方公共団体は、住宅確保要配慮者が民間賃貸住宅を円滑に賃借することができるようにするため、住宅確保要配慮者及び民間賃貸住宅の賃貸人に対する支援その他の住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関し必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
2 民間賃貸住宅を賃貸する事業を行う者は、国及び地方公共団体が講ずる住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進のための施策に協力するよう努めなければならない。
(情報の提供等)
第五十五条 国及び地方公共団体は、住宅確保要配慮者が賃貸住宅に関しその事情に応じた適切な情報を効果的かつ効率的に入手することができるようにするため、賃貸住宅に関する情報の提供及び相談の実施に関し必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
(住宅確保要配慮者の生活の安定及び向上に関する施策等との連携)
第五十六条 国及び地方公共団体は、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する施策を推進するに当たっては、住宅確保要配慮者の自立の支援に関する施策、住宅確保要配慮者の福祉に関する施策その他の住宅確保要配慮者の生活の安定及び向上に関する施策並びに良好な居住環境の形成に関する施策との連携を図るよう努めなければならない。
(地方公共団体への支援)
第五十七条 国は、地方公共団体が講ずる住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する施策を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第八章 雑則
(大都市等の特例)
第五十八条 第四章の規定により都道府県又は都道府県知事の権限に属するものとされている事務は、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下この条において単に「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下この条において単に「中核市」という。)においては、指定都市若しくは中核市(以下この条において「指定都市等」という。)又は指定都市等の長が行うものとする。この場合においては、同章中都道府県又は都道府県知事に関する規定は、指定都市等又は指定都市等の長に関する規定として指定都市等又は指定都市等の長に適用があるものとする。
(国土交通省令への委任)
第五十九条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、国土交通省令で定める。
(経過措置)
第六十条 この法律に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第九章 罰則
第六十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第二十九条第一項の規定に違反して、その職務に関し知り得た秘密を漏らし、又は自己の利益のために使用した者
二 第三十五条第二項の規定による登録事務の停止の命令に違反した者
第六十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 不正の手段によって第八条の登録を受けた者
二 第十二条第一項又は第十四条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
三 第三十一条第一項又は第四十七条第一項の規定に違反して、帳簿を備え付けず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかった者
四 第三十一条第二項又は第四十七条第二項の規定に違反した者
五 第三十三条第一項又は第四十九条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
六 第三十三条第一項又は第四十九条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
七 第三十三条第一項又は第四十九条第一項の規定による質問に対して答弁せず、又は虚偽の答弁をした者
八 第三十四条第一項の規定による許可を受けないで登録事務の全部を廃止した者
第六十三条 第二十二条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の罰金に処する。
第六十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して前三条の違反行為をした場合においては、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。