内閣は、特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法(平成八年法律第九十三号)第七条第一項、第八条、第十二条第十号及び第十一号、第十三条第二項、第二十四条第二項並びに第二十五条第二項の規定に基づき、この政令を制定する。
(定義)
第一条 この政令において「特定住宅金融専門会社」とは、特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法(以下「法」という。)第二条第二項に規定する特定住宅金融専門会社をいう。
2 この政令において「債権処理会社」とは、法第三条第一項第二号に規定する債権処理会社をいう。
3 この政令において「指定期間」とは、法第七条第一項に規定する指定期間をいう。
(指定期間)
第二条 法第七条第一項に規定する政令で定める日は、債権処理会社の設立の日から起算して一年を経過する日とする。
(譲受債権等に係る損失の生じた事由及び金額)
第三条 法第八条に規定する政令で定める事由は次の各号に掲げる事由とし、同条に規定する政令で定める金額はそれぞれ当該各号に定める金額とする。
一 債権処理会社が特定住宅金融専門会社から指定期間内に譲り受けた金銭債権(以下「譲受金銭債権」という。)について弁済を受けた金額(当該弁済が代物弁済によるものである場合には、当該代物弁済により譲り受けた資産の処分等により得られた金額。以下同じ。)が当該譲受金銭債権の取得価額(譲受けの対価の額をいう。以下同じ。)を下回ったこと(当該譲受金銭債権に係る債務者の財産の状況、支払能力等からみて当該弁済以外の弁済を受けることができないことが明らかである場合又は当該譲受金銭債権に係る債務の全部が履行されている場合に限る。)。 当該譲受金銭債権の取得価額と当該弁済を受けた金額との差額に相当する金額
二 譲受金銭債権に係る債務者の財産の状況、支払能力等からみて当該譲受金銭債権の全額について弁済を受けることができないことが明らかとなったこと。 当該譲受金銭債権の取得価額に相当する金額
三 債権処理会社が特定住宅金融専門会社から指定期間内に譲り受けた土地又は建物(以下この条及び次条第二号において「譲受土地等」という。)の譲渡の対価として支払を受けた金額が当該譲受土地等の取得価額を下回ったこと。 当該譲受土地等の取得価額と当該支払を受けた金額との差額に相当する金額
四 譲受土地等以外の資産で債権処理会社が特定住宅金融専門会社から指定期間内に譲り受けたもの(営業の用に継続して使用するために譲り受けたものを除く。以下この号及び次条第三号において「譲受資産」という。)の譲渡の対価として支払を受けた金額が当該譲受資産の取得価額を下回ったこと。 当該譲受資産の取得価額と当該支払を受けた金額との差額に相当する金額
五 債権処理会社が特定住宅金融専門会社から指定期間内に譲り受けた有価証券(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項に規定する有価証券をいう。)その他これに類するものとして内閣府令・財務省令で定めるもの(以下この号及び次条第四号において「譲受有価証券等」という。)についてその償還金、払戻金又は残余財産の分配金として支払を受けた金額が当該譲受有価証券等の取得価額を下回ったこと。 当該譲受有価証券等の取得価額と当該支払を受けた金額との差額に相当する金額
六 債権処理会社が特定住宅金融専門会社から指定期間内に引き受けた保証債務(以下「引受保証債務」という。)の履行をした場合において、債権処理会社が当該履行により取得をした求償権の行使により弁済を受けた金額と当該保証債務の引受けの対価の額との合計額(以下この号及び次条第五号において「引受保証債務回収等金額」という。)が当該履行をした金額を下回ったこと(当該保証債務に係る主たる債務者の財産の状況、支払能力等からみて当該弁済以外の弁済を受けることができないことが明らかである場合又は当該求償権に係る債務の全部が履行されている場合に限る。)。 当該履行をした金額と当該引受保証債務回収等金額との差額に相当する金額
(譲受債権等につき利益の生じた事由及び金額)
第四条 法第十二条第十号イに規定する政令で定める事由は次の各号に掲げる事由とし、同号イに規定する政令で定める金額はそれぞれ当該各号に定める金額とする。
一 債権処理会社が譲受金銭債権について弁済を受けた金額(当該譲受金銭債権について代物弁済により土地又は建物(以下この号及び第五号において「土地等」という。)の取得をし、当該取得をした土地等を譲渡した場合において、当該土地等について債権処理会社が支出した金額のうちに、その支出により当該土地等の取得の時において当該土地等につき通常の管理又は修理をするものとした場合に予測されるその支出の時における当該土地等の価額を増加させる部分に対応する金額(以下この条において「資本的支出の額」という。)があるときは、当該資本的支出の額を控除した残額)が当該譲受金銭債権の取得価額を上回ったこと。 当該譲受金銭債権の取得価額と当該弁済を受けた金額との差額に相当する金額
二 債権処理会社が譲受土地等の譲渡の対価として支払を受けた金額(当該譲受土地等について債権処理会社が支出した金額のうちに資本的支出の額があるときは、当該資本的支出の額を控除した残額)が当該譲受土地等の取得価額を上回ったこと。 当該譲受土地等の取得価額と当該支払を受けた金額との差額に相当する金額
三 債権処理会社が譲受資産の譲渡の対価として支払を受けた金額が当該譲受資産の取得価額を上回ったこと。 当該譲受資産の取得価額と当該支払を受けた金額との差額に相当する金額
四 債権処理会社が譲受有価証券等についてその償還金、払戻金又は残余財産の分配金として支払を受けた金額が当該譲受有価証券等の取得価額を上回ったこと。 当該譲受有価証券等の取得価額と当該支払を受けた金額との差額に相当する金額
五 債権処理会社が引受保証債務の履行をした場合において、引受保証債務回収等金額(当該履行により取得をした求償権の行使に係る代物弁済により土地等の取得をし、当該取得をした土地等を譲渡した場合において、当該土地等について債権処理会社が支出した金額のうちに資本的支出の額があるときは、当該資本的支出の額を控除した残額)が当該履行をした金額を上回ったこと。 当該履行をした金額と当該引受保証債務回収等金額との差額に相当する金額
六 債権処理会社が、引受保証債務に係る主たる債務者がその債務の全部の履行をしたことその他の理由により、引受保証債務の全部についてその履行を免れたこと。 当該引受保証債務の引受けの対価の額に相当する金額
七 その他前各号に掲げる事由に準じる事由として内閣府令・財務省令で定める事由 当該事由により生じた利益の金額として内閣府令・財務省令で定める金額
(譲受債権等に係る損失の減少した事由及び金額等)
第五条 法第十二条第十号ロに規定する政令で定める事由は次の各号に掲げる事由とし、同号ロに規定する政令で定める金額はそれぞれ当該各号に定める金額とする。
一 譲受金銭債権につき、第三条第一号又は第二号に掲げる事由に該当することにより法第八条の規定による助成金の交付を受けた後弁済を受けたこと。 当該弁済を受けた金額に相当する金額
二 引受保証債務につき、第三条第六号に該当することにより法第八条の規定による助成金の交付を受けた後当該引受保証債務に係る求償権の行使により弁済を受けたこと。 当該弁済を受けた金額に相当する金額
2 法第十二条第十号ロに規定する政令で定める割合は、債権処理会社の同号ロに規定する事由が生じた日の属する事業年度の直前の事業年度(以下この項において「基準年度」という。)までに生じた法第八条に規定する譲受債権等に係る損失の金額(同条に規定する損失の金額をいう。)の合計額のうちに、次に掲げる金額のいずれか少ない金額の占める割合とする。
一 当該損失の金額の合計額の二分の一に相当する金額
二 基準年度までの法第八条各号に掲げる金額の合計額
(国庫への納付手続)
第六条 預金保険機構は、債権処理会社から法第十二条第十号の規定による納付(以下この条において「利益納付」という。)を受けた金額に相当する金額を、当該利益納付を受けた日から三十日以内に、国庫へ納付しなければならない。
2 預金保険機構は、債権処理会社から利益納付を受けたときは、前項の規定により国庫に納付する金額の計算書に、債権処理会社の当該利益納付をした日の属する事業年度の直前の事業年度末の貸借対照表、債権処理会社の当該直前の事業年度の損益計算書その他内閣府令・財務省令で定める書類を添付して、当該利益納付を受けた日から二十日以内に、これを金融庁長官及び財務大臣に提出しなければならない。
(政府の補助)
第七条 法第二十四条第二項の規定による補助金の交付は、債権処理会社の同項に規定する政令で定める金額の二分の一に相当する金額の合計額が同項各号に掲げる金額の合計額を超える事業年度の終了の日の属する国の会計年度の翌年度以後の年度であって、その超える部分の金額並びに債権処理会社及び預金保険機構の財務の状況を勘案して当該交付が必要と認められる年度において、行うものとする。
(日本銀行への返還)
第八条 法第二十五条第二項の規定による日本銀行への返還は、債権処理会社が解散しその残余財産が確定した後(債権処理会社の残余財産の分配が行われるときは、法第二十七条の手続を終えた後)において、行うものとする。
(登記手数料令の適用関係)
第九条 預金保険機構が行う法第三条第一項第六号又は第七号に掲げる業務に関しその職員が登記手数料令(昭和二十四年政令第百四十号)第一条に規定する請求をする場合における同令の規定の適用については、当該職員及び当該業務に係る職務は、それぞれ国の職員及び同令第十九条に規定する職務とみなす。